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東北大学の青木栄一教授(本人提供)

 15歳人口の減少や、高校授業料の実質無償化の動きなどを背景に、あらためて公立高校の役割が問われています。選ばれる公立、生徒のニーズにこたえられる公立であるためには、どうすればいいのでしょうか。東北大学の青木栄一教授(教育行政学)に聞きました。

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 戦後の第1次ベビーブームをうけて、都道府県は、公立高校で不足していた定員を私立高校に依存した。その歴史的経緯から、私立の定員を減らせず、人口減少時代に入ってからは公立が率先して定員を削ってきた。とはいえ、これまでは公私の授業料に大きな差があり、「マーケット」は分かれていたといえる。

 公立高校と私立高校の「マーケット」が融合した大きなきっかけは、私立も高校無償化の対象になったことだ。特に、所得制限を緩和したことは、潮目が変わるインパクトがあった。

 あくまでも「授業料の無償化」であり、私立は授業料以外にもお金がかかるが、そうした点は開示されず、「消費者」である生徒や保護者には十分理解されていない。

 私立は、過疎地域にスクールバスを走らせるなど、生徒集めの努力をしてきた。一方、公立では、親が車で送迎せざるをえない学校もある。それでも昔は生徒が集まったが、今後はいっそう厳しくなるだろう。

 人口が多い時代には、男子校…

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